2019年8月8日、上海警察が大々的に動き、偽物フィギュアを生産する工場が摘発されました。 具体的な内容は、当ブログで取り上げたことがあるので、興味がある方は読んでみてください。
要点を箇条書きにしてみると、
- 上海警察が、バンダイ、任天堂、メガハウス等の偽物ブランドフィギュアを摘発した。
- 摘発したのは20を超えるブランドで、販売価格は市場価格の三分の一ほどだった。
- 偽物フィギュアのほとんどが、ドラゴンボール、スラムダンク、ワンピース、ポケモンなどの有名アニメ作品だった。
- 上海警察が押収したものは、123件100万個以上の偽物フィギュア、偽物の型1200以上、加工機械、運搬車両、生産工具で、3億元近くになる。
- 現在、本件の容疑者25人は刑事告訴されている。
といった感じ。
その後、3億元(≒45億円)相当の動産を押収し、25人もの悪い奴らをブタ箱に放り込んだ上海警察を称え、バンダイがガンダムフィギュアをプレゼントしたという内容を記事化しました。
偽物フィギュアの生産小ネタ
その後も小規模な摘発は続いていますが、偽物フィギュアを手掛ける老板(社長)たちは、完全に他人事です。 「見てみろよ、フィギュア業界は偽物工場だらけだぜ! 捕まったのは運が悪かったのと、見せしめだよ。 うちは規模が小さいし、下請けで受けているだけだから大丈夫だよ!」という工場が何百とあるのも事実です。
偽物フィギュアは安いので、残念ながら需要があります。 また、偽物フィギュアの生産が捌ききれないので、生産の一部を外注に振るなんてことは日常茶飯事です。 外注先は悪い意味で版権の有無なんて気にしません。
版権への意識が少しばかり高い老板だと、「これは版権どうなってるの?」と聞くこともあります。 ただ仕事を振る悪い工場は、「もちろん正規版権だよ!」と平気で嘘をつきます。 信じて受注、調査もなしで生産、チャンチャン^^/ なーんてことが横行しているわけです。
おいらのフィギュア工場は商品のクオリティーがとても高いので、「このパーツだけ抜いてくれ」とか、「この頭部だけ彩色してちょーだい」みたいな引き合いがそこそこ来ます。 受けるかどうかの最終判断をおいらがするわけですが、当然ながら無版権物は断ります。
先日うちの工場の評判を聞いて連絡してきた工場があり、春節前に出荷しなければならないので、100体だけ生産を助けてほしいと依頼がありました。 うちの工場長は優秀なので、正規か偽物かの区別は付くようになったと思っていました。 ところが大吉チェックで偽物と断定されちゃいました^^;
先方があまりにも自信満々に「版権の有無? 正規版権に決まっているじゃないか! うちの工場では正規版権物しか作らないし、偽物には手を出さないよ!」と言ってきたのでコロっと信じちゃったようです。 実際にその工場は正規版権物をメインに生産している工場なので、目利きが効かないと危ないというお話でした(^q^)
China Dragon TV(中国東方衛視)で大々的にテレビ報道
さて、冒頭で紹介した2019年8月8日の摘発事件、一昨日(2020年1月16日)にテレビで報道されました。 取引先の中国国内メーカーの社長から連絡をもらい、YouTubeと微博で視聴しました。
警察の踏み込み方とか、対応の仕方が中国チックで面白かったので貼り付けておきます。 中国語が分からなくても、動画なので理解できると思います。
民警查获三亿假手办,高能抓捕全程燃爆!|《派出所的故事2019》Police story 2019 EP5【东方卫视官方频道】
中国东方卫视官方频道China DragonTV Official
上の動画はYouTubeから引っ張ってきたものです。 微博でも早速まとめページができていたので、そちらのリンクも紹介しておきますね。。。
いきなり踏み込まれた工場のワーカーさんは、踏んだり蹴ったりでした。 日本のキャラクターフィギュアが好きで、どの作品かを理解して生産しているワーカーさんはほとんどいません。 自社工場が偽物フィギュアを生産している工場なのだという認識すらないワーカーさんが大半だと思います。
しょっ引かれたのが25人ということなので、事情を知らないワーカーさんはパクられていないかなと。 災難でしたが、今後は自分が働く工場はしっかりと選びましょう! 性格が良くて技術のあるワーカーさん、うちにくる?(^_-)-☆
今後の偽物フィギュア工場の考察
結論から言ってしまうと、偽物フィギュア工場はなくなりません。 需要があるからですね。 大々的にやるのは難しいので、小規模工場を隠れ蓑にして生産を継続して行くことになるでしょう。 ブランドバッグのスーパーコピーが、摘発されても摘発されても淘汰されずに世の中に出回っているのと同じ原理です。
それでも今回のテレビによる大々的な報道は意味があります。 うちの工場長に早速動画を送ったら、「うへー、こうして取り締まるようになりましたか。 うちは大丈夫ですが、この近辺はアウトな工場もたくさんありますよ。 テレビで報道したということは、今後はもっと手厳しく摘発して行こうという示唆ですね。」と返信がありました。
上で紹介した微博のまとめページ(微博搜索)には、歓迎している中国人ユーザーの声が大半でした。 一部に「喜ぶのはバンダイやライセンシー企業だけだな、安いフィギュアが買えなくなるのはつらい」という阿呆なコメントもありますが、中国人だって偽物は買いたくないのです。
コピーライトに関しては世界中から圧力をかけられており、フィギュア業界だけにとどまらず、ガンガン取り締まる方向に舵を切っています。 いいことなので、よろしくお願いしまーす☆彡
チャンチャン^^/